あなたが倒れたとき、助けてくれる人はいますか?

「AED(自動体外式除細動器)」は、心臓に電気ショックを与えるための医療機器で、様々な施設で設置が進んでいます。日本では1日に約200人もの方が心臓突然死で亡くなっていますが、そのうちの半数はAED利用で助けられた命と言われています。心停止は起きてからの5分間が命の分かれ目で、そばにいる人がすぐ対処することが大切です。高齢者も多く暮らす札幌市厚別区は、「医療のまちづくり」を進めており、AEDの使用率を上げること、いざというときに対処できる「ファーストレスポンダー(初期対応者)」の育成は重要な課題の一つとなっています。
新札幌にある札幌看護医療専門学校は、医療機器を管理する臨床工学技士を育成する学科があること、また「まち全体が救急チームとなり命を救う」というハートセーフシティ構想を掲げる医療機器メーカー、フィリップス・ジャパンと提携していることから、この課題の解決に乗り出しました。

命を救う場面で動ける勇気。ファーストレスポンダーの育成。

札幌看護医療専門学校では、フィリップス・ジャパン、厚別区、札幌学院大学とともに「AED調査ゼミ」を立ち上げました。ゼミには臨床工学技士学科の1年生と札幌学院大学の学生が参加し、厚別区内のAED設置状況調査などを実施。その結果、あるはずの場所にAEDがない、メンテナンスが不完全など、使用を阻む様々な課題が見えてきました。このほか、学生が講師となっての市民向け救急法講座も行いました。指導担当の山田先生は「市民の皆さんから『学べてよかった』など喜びの声をいただきました。学生にとっては、命を救う場面をよりリアルにイメージする機会になり、いざというときにファーストレスポンダーとして動ける勇気も養われたと思います」と話します。活動は高く評価され、ゼミは日本AED財団の「AED調査MAPサポーター」の認定を受けました。2022年は最終報告に向け、より適切なAED設置場所の提案などを検討しているところです。

大学や地域とのつながり、私が住むまちの未来を考える。

ゼミを通じ、学生たちは自分たちで考え、行動できるようになっていっています。
山田先生に聞くと、「壁にぶつかり落ち込む学生もいましたが、どう対処すればよいかを自分たちで考え、前向きに楽しく研究を続けてきました。学生自身の発案で調査時のゴミ拾いボランティアも始まっています。考えを伝える力や主体性、判断力など、将来につながる力が確実に伸びています」との事。

現代の医療は多職種が力を合わせるチーム医療が主流です。そこでは人間力も大切な要素です。
札幌看護医療専門学校では、看護師、視能訓練士、歯科衛生士、臨床工学技士の4学科すべてで人間力の育成に力を入れています。また、全学科、札幌学院大学のキャンパス利用やサークル参加が可能です。AED調査ゼミだけでなく、企業との協働など、多様な視点に触れることのできる機会は多いので、在校生には積極的に参加してもらいたいと思っています。

 

\臨床工学技士学科の詳細はコチラ/