ヤングケアラーや地域特有の生活習慣など身近な課題に対して、医療の学びを生かした解決策を実践する
今、身近に起こっている医療・福祉の問題に対して、解決策からビジネスプランを考える
急速に変化する時代とともに、医療業界や福祉業界を取り巻く環境も激変しており、これからの医療、福祉業界で働く人には、自ら課題を見つけて解決する力が求められるようになります。そこで講義では、臨床工学技士の資格取得のための学びと同時に、
身近に起こっている問題などに目を向け、解決策を考え、実践。
こうした一連の学びの発表の場として、札幌学院大学主催の学生ビジネスプランコンテストに参加しています。
このビジネスコンテストは、
「現在の社会や地域で問題になっている身近な課題を解決するビジネスアイデア」
「将来の社会や地域の革新につながる新しいビジネスアイデア」
「まちおこしにつながるユニークなビジネスアイデア」
などを考えるもので、道内の大学生や専門学校生が出場。2022年の第3回コンテストでは、医療や介護の分野の中で、本来大人がやるべき家族の介護や家事などを、18歳未満の子どもが担う「ヤングケアラー」の問題を取り上げて見事優勝しました。
ヤングケアラーが交流するコミュニティ作りや地域の健康教室を開催する
まずはヤングケアラーに関わる人に話を聞くことからスタート。ヤングケアラー協会、NPO法人、さらには自身がヤングケアラーである人にも会いに行き、「行動する」ことから課題を見出しました。
その中でわかったことは、「ヤングケアラー当事者が話し合える場がない」ということ。
そこでWEB上に自由に参加できる仮想空間を作成。運営資金はイベントで物販を行うなど、自分たちで調達しました。
コンテストでは、頭の中に描いただけのプランではなく、実際に行動したことが高く評価されました。
現在は、道内の漁師町の人の生活習慣病予防と健康問題に取り組んでいます。
寒い地域の漁師は体温を維持するために塩分摂取量が多く、高血圧になりがち。高血圧がいかに危険かを理解してもらうために、ゼミの学生が健康教室を開催しました。
また冬場は寒く、特に観光の目玉がないことから、夏に比べて観光客は激減。そこで観光客を誘致するために、魅力的な地元グルメの開発を企業と共に手掛け、試食会を開くなど現在も進行中です。
これからの時代に求められる医療従事者になるため必要な力とは
医療がビジネスとどう関係するの?その答えは、変化する医療環境の中にあります。厳しい病院経営、超高齢化社会と人口減少、医療従事者不足、地域医療格差、さらにAIの進化など、解決しなければならない問題がたくさんあります。
こうした地域が抱える課題を、企業や関連する団体と一緒にいかに解決していくか、その方法をゼミの中でみんなで考え、実際に解決のために行動することの大切さを学びます。「日本では、医療ビジネス、特に福祉ビジネスは経営が難しいと言われています。
福祉はどこか無償で奉仕するべきという根強い考え方があるからです。
しかし、「医療も福祉もよりよいサービスを提供するためには企業の力が必要なんです」と担当の森本先生。
資格を取得して、医療技術を提供するだけではなく、変化する世の中に対応できる、求められる医療従事者になるためにも、学生のうちから世の中に目を向けて視野を広げ、問題意識を持って企業と共に一歩踏み出す行動する力を養っていけるような活動を、ゼミの中で実践しています。