美しい姿勢も女性特有の不調も注目すべきは「口」だった!歯科衛生士の学びは発見の連続

無意識に「お口ぽかん」になっていませんか?


呼吸する、食べる、眠る、話す、表情を作る、免疫を管理する。いずれも人が生きる上で欠かせない機能です。
このすべてに関わる器官が「口」です。口がうまく使えないと、食べこぼす、飲み込めない、うまく発音できない、いびきなどで睡眠の質が下がる、表情が乏しくなる、口呼吸で病原菌が侵入するなど、健やかな日常生活を妨げる要因になります。
歯科衛生士という仕事は、単に虫歯の治療をするだけではなく、極端に言えば、人の生死にまで関わるものなのです。
全身の健康に関わる「口」ですが、最近問題視されているのが、子どもの「口唇閉鎖不全症」、いわゆる「お口ぽかん」です。これは、噛む、飲み込むなどの口の機能が発達していないことから起こるものです。この問題を解決できるのが、口腔の専門家である歯科衛生士ではないかと考え、口の周りの筋肉を鍛えるトレーニング「クチトレ」を企業と連携し、卒業研究として取り組みました。

3カ月で実感。「口」の強化が、見た目もメンタルも整える。


3〜5歳の小児を対象に、連携企業が開発した器具を使って1カ月間、「口唇閉鎖力」向上のためのトレーニングを行いました。その結果、姿勢がよくなり、表情が豊かになるなど、明らかな効果が見られました。
小児だけでなく、本校1年生の学生に3カ月間継続して同様のクチトレを実践。結果は、

・よだれが出ない
・睡眠の質が変わった
・顔の歪みが解消された
。表情筋が動きやすくなった

など、小児と同じような効果が見られました。
いずれもクチトレによる筋肉強化はもちろんですが、同時に注目したのが、クチトレによって脳にも刺激が与えられるということです。この刺激により自律神経が整えられ、心身に良い影響を与えるのではないかと考えました。自律神経と大きく関わりがあるのがPMS(月経前症候群)や生理痛、更年期など、女性特有のさまざまな不調です。“フェムテック”と言われる解決の糸口になるのではと今後学生の追跡調査を始めるところです。

 

「口」の学びが女性の活躍の場を広げる!

クチトレの調査では、実施前後で写真撮影を行います。学生を対象に行った3カ月間のトレーニング後には、明らかに口角が上がり、写真に映る笑顔は魅力的かつ多幸感に溢れていました。笑顔に自信が持てると、気持ちも前向きになります。メンタル面でも良い効果が期待されるクチトレ
こうした多くの可能性を秘めているため、春から1年生の必須カリキュラムになります。
講義には現在、歯科衛生士として活躍している卒業生を講師として招いています。卒業してからも、教え、学び続けることができる環境を整えています。

「歯科衛生士になるための学びは、日常生活に直結します。クチトレが、子どもの心身の健康維持はもちろん、女性特有の症状の緩和にも役に立てば、パフォーマンスが向上し、ひいては女性の活躍支援にも繋がります。「口」から多くの人の人生を豊かにする。そんなスケールの大きな学びのおもしろさを実感しほしい」