視能訓練士の平均年収は、いったいどのくらいなのでしょうか。地域や職場により年収が異なるため、適正相場を知っておくことが重要です。また、年収を増やすポイントをおさえておくことで、努力次第では昇給も目指せます。そこで今回は、視能訓練士の平均の年収や収入を増やすポイントについて解説します。
視能訓練士の賃金
視能訓練士の平均賃金は、どのくらいでしょうか。データをもとに視能訓練士の賃金について確認しましょう。
●視能訓練士の平均年収
視能訓練士の平均年収は、令和4年賃金構造基本統計調査よると430.6万円です。過去15年の調査結果では390万〜430万円程度で推移しています。また年齢によっても賃金に差があり、20代の平均年収は312.2万円、50代の平均年収は561.2万円であるため、年齢を重ねると年収がアップします。同じ職場で働き続けて昇給を目指す方もいますが、なかには転職を行って年収を上げる方もいます。
●視能訓練士の平均月収
視能訓練士の平均月収は、厚生労働省のデータによると30.7万円です。(当調査の対象者の平均年齢は34.7歳、平均勤続年数が7.3年とされています)
●視能訓練士の時給
令和4年賃金構造基本統計調査によるデータでは、視能訓練士の収入を時給に換算した場合は、時給2,470円でした。事業所の規模別では従業員数が10〜99人の小規模事業所で2,584円、100〜999人の事業所で2,479円と規模が小さいほど時給が高くなる傾向が見られました。
●視能訓練士の賞与、ボーナス
令和4年賃金構造基本統計調査による視能訓練士の賞与は、従業員が10人以上いる事業所の平均で69万8,400円です。事業所の規模が小さい順に従業員が10〜99人の事業所における平均額では50.7万円、100〜999人で68.1万円、1,000人以上の従業員がいる事業所では90.9万円となっています。
●視能訓練士の賞与、ボーナス
勤務する視能訓練士は各職場において様々な福利厚生が提供されています。主な福利厚生は「法定福利」と呼ばれる健康保険や厚生年金、雇用保険、労災保険、介護保険などです。そのほか「法定外福利」と呼ばれる住宅手当や通勤手当、有給休暇、資格取得支援、出産・育児休暇、院内保育所を含む託児所・保育所の利用なども事業所によっては提供されます。生活に不安を感じることなく仕事に専念できるよう、また従業員のモチベーション向上のために様々な福利厚生を利用することができます。
視能訓練士の年収の違いについて
同じ視能訓練士でも、年収が異なる場合があります。具体的にどのような場合に年収が異なるのかを確認しましょう。
●勤続年数による年収の違い
勤続年数が長いほど、年収は高くなります。勤続年数が5年未満の場合、平均年収は313.2万円ですが、勤続年数が10年以上~15年未満になると平均年収は460.5万円になります。全体の年齢でみると、勤続年数が30年~35年未満がもっとも高く平均年収は573.2万円です(日本視能訓練士協会資料より)。経験を重ねてますます活躍できる職種と言えるでしょう。
●働き先による年収の違い
病院の働き先により年収は異なります。私立大学病院の平均年収は510.1万円でもっとも高く、もっとも年収の低い働き先は、眼科診療所で373.7万円です。私立病院と眼科診療所の平均年収を比較すると140万円の差があるため、年収を気にする方は働き先の給与について事前に調べておくことが必要です。
視能訓練士とほかの職業との年収の比較
視能訓練士の年収について解説しましたが、ほかの職業と比べるとどのくらい異なるのでしょうか。ほかの職業との年収の違いについて確認しましょう。
●看護師との年収の比較
厚生労働省の2021年の発表によると看護師の年収は、498.6万円です。看護師の年収は、視能訓練士よりも50万円ほど高いです。看護師と視能訓練士を比較すると働き方に大きな違いがあり、看護師は夜間勤務がある場合があります。
夜間勤務がある病院では、時間外手当がもらえるため収入が高くなります。しかし、夜間勤務は生活リズムを壊したり育児と両立するのが難しかったりするため、ご自身のライフワークを考えて働き先を考える必要があります。
視能訓練士と看護師の共通点は、女性の働き手が多い点です。看護師の方で育児と両立して働いている方は、パートの方が多いです。
視能訓練士の年収を上げる方法
視能訓練士として働く際に年収を上げたい場合は、いくつか方法を知っておく必要があります。具体的にどのようなことを意識すると年収が上がるか確認しましょう。
●資格を取得する
視能訓練士以外の資格を持っていると、年収が上がる場合があります。たとえば、理学療法士や作業療法士、臨床検査技師などの資格を持っていると、病院によっては昇給する場合があります。
●昇給をめざす
働いている病院で昇給すると年収が上がります。昇給の基準は病院により異なり、知識や技術、仕事へのやる気を示すと昇給する場合があります。
視能訓練士の技術を向上させるには、勉強会に参加するのがよいでしょう。視能訓練士の勉強会は外部でも定期的に開催されており、熱心に勉強会に参加すると昇給できるかもしれません。昇給できるかは、会社の基準をきちんと確認することが重要です。
●転職する
もっとも簡単に年収を上げるには、転職するのがよいでしょう。視能訓練士の年収は雇用先で大きく異なるため、給料の高いところで働くのがよいです。視能訓練士の働き先は眼科診療所や、私立大学附属病院、国立病院など雇用先はさまざまあります。
給料を上げたいならば、私立大学付属の病院がもっとも年収が高いためおすすめです。しかし、仕事内容や求められるスキルが病院により異なるため、求人票をきちんと確認することが重要です。
ひとつ注意する点は、転職をしても必ず年収が上がるとは限らないことです。年収は働き先で異なりますが、継続年数でも年収は異なるため、転職することで年収が下がる場合があります。転職すると、今まで働いていた雇用年数がカウントされないため注意が必要です。
視能訓練士の将来性について
視能訓練士の年収について解説しましたが、果たして将来性はあるのでしょうか。視能訓練士の将来性について解説します。
●眼科病院への来院者の増加
眼科治療の来院患者数は、20年間で約5倍以上に増えています。来院患者数が増えた理由は、コンタクトレンズやレーシックの普及、近視の患者の増加が原因と考えられます。
コンタクトレンズやレーシック治療を行った患者は、眼科診療を定期的に受ける必要があります。コンタクトレンズやレーシックが多くの方に普及すると、眼科病院に通院する患者数が増えて視能訓練士の需要が高まると考えられます。
●視能訓練士の受験者数の少なさ
視能訓練士になるには、一年に一度行われる国家試験に合格しなければなりません。視能訓練士の国家資格は、理学療法士や作業療法士、放射線技師などと比べると、受験者数は非常に少ないです。理学療法士と視能訓練士の受験者数を比べても、出願者数では10倍以上の差があります。
なぜ視能訓練士の受験者数が少ないのかは、認知度の低さが挙げられます。理学療法士や看護師、放射線技師は有名な資格ですが、視能訓練士はまだまだ多くの方に知られていません。現在の視能訓練士の受験者数は少ないですが、視能訓練士の仕事の需要が増していくと受験者数は増加すると考えられます。
●最先端の医療機械の導入
視能訓練士を雇っていない眼科病院もありますが、最先端の医療が開発されて視能訓練士の専門性が確立されると、需要が高まることが予測できます。
眼科治療は、AIや人工知能の発展から簡易的に検査できるようになっており、今後は人間の手で行う検査は複雑化すると考えられています。複雑化された検査を視能訓練士がサポートし、正確な検査をスピーディーに行うことが期待されています。
まとめ
今回は、視能訓練士の年収や将来性について解説しました。視能訓練士の年収は、働き先や雇用年数、年齢により大きく異なります。年収を上げたい場合は、資格を取得することや年収の高いところに転職するのがよいでしょう。視能訓練士の専門性が確立すると、視能訓練士の仕事の需要がさらに高まるでしょう。
※参考(姉妹校:日本医歯薬専門学校)
