眼科診療のスタート地点で活躍。
クリニックに欠かせない
「視能訓練士」の仕事とは。
視力や視野に問題があっても、患者の眼の外見からは分からないことがほとんどです。そこで視能訓練士が測定機器を使って眼の機能を詳しく調べ、様々なデータをとります。これらのデータをもとに眼科医が患者の診断・治療にあたるわけです。つまり、眼科診療のスタート地点にあるのが視能訓練士の仕事です。また弱視や斜視の人に視力を回復するための訓練を施すのも重要な役割です。
年をとるにつれて、ものを見る機能は衰え、白内障をはじめとする眼の病気も生じやすくなります。そのため高齢社会の日本では、視機能に障害をもつ人がお年寄りを中心に増えています。視機能障害のために行動範囲が狭くなったり、介助が必要になったりすれば、患者やその家族の生活は大きな変化を余儀なくされます。目の異常の早期発見と視機能回復のリハビリ指導などによって、こうした現状に歯止めをかけることが可能です。眼科医療での視能訓練士の活躍が、今後ますます期待されます。
視機能検査や視機能回復訓練には、眼科の知識と高度な機器を用いた的確な計測技術が不可欠です。したがって、ほとんどの眼科医療機関では、専門の知識・技能を身につけた「視能訓練士の資格取得者」であることを採用の条件としています。国家試験は毎年1回、2月に東京都および大阪府で実施されます。例年の合格率は90%前後です。
「視能訓練士」の有資格者は、眼科医院や眼科がある総合病院への就職がほとんどです。この他、近年ではレーシッククリニックで働く視能訓練士もいます。
勤務日数 | 5日/週 |
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収入 | 年収407万円程度 (私立眼科病院) |
勤務年数 | 5年未満 : 16.5% 10年未満 : 24.6% 15年未満 : 20.6% 20年未満 : 15.5% 25年未満 : 8.9% 40年未満 : 13.3% 40年以上 : 0.6% |
男女比 | 13(男性): 87(女性) |
ある調査※によると「現在の職場で仕事を続けたい」と思う視能訓練士は56.5%にも上ります。医療職でありながら「夜勤や当直が無い」「年齢に関係なく働き続けることができる」のが、その大きな理由と考えられます。同じ調査によると、視能訓練士の多くは正規雇用ですが、女性の場合、全体の2割ほどがパートタイムや非常勤で勤務しています。家庭や育児との両立も図りやすい職種のようです。
※公益社団法人 日本視能訓練士協会「視能訓練士実態調査報告書2015年」より
来院した患者さんの視力検査や視野検査、手術前の患者さんの視機能をチェックする術前検査など、1日に20件から30件ほどの検査を受け持ちます。これが視能訓練士としての私の主な仕事です。
検査に際して患者さんから眼の見え方をお聞きし、医師につなぐのも視能訓練士の大切な業務です。たとえば「目がかすむ」「ものが二重に見える」といった見え方の異常は、患者さん本人にしか分かりません。そこで視能訓練士が問診して視力や視野の問題をあらかじめ聞き取り、検査データとあわせて医師に届けます。これが診断や治療のための判断材料になるわけです。ですから、眼科のチーム医療のなかで視能訓練士が果たす役割は、かなり大きなものだと思います。
ただ単に「検査」と聞くと、事務的で機械的な印象があるかもしれませんが、視能訓練士によって仕事の質に差が出ます。逆に言えば、経験や勉強を重ねながら、自分なりの工夫を活かして面白く取り組んでいける職種だと思います。専門学校時代、先生に「指示された検査以上のことを自発的にできるように」と指導されましたが、今はその意味がよく分かります。
勤務4年目の今年、1年目の後輩の指導を任されています。新人に聞かれたことに自信をもって答えられないことがあり、自分の知識を点検する機会になっていますし、患者さんに接する後輩の態度を見て気づかされることもいろいろです。現場で学ぶことが多い仕事だと改めて感じます。
高校時代に漠然と医療系の進路を希望し、ネットを調べて知ったのが視能訓練士。身内に眼の手術をした人がいたこともあり、この道を選択しました。自分が受け持った検査の結果を医師に褒めてもらったり、強度の弱視だった子どもの患者さんに、訓練の成果があって視力が回復したりすると、やはりこの仕事に就いてよかったと思います。有資格者に女性が圧倒的に多く、女性が活躍できる職種なのも選んで正解でした。
「将来は医療系の仕事がしたい。」と思い、調べていく中で目の検査や視機能の矯正、訓練などを行う“視能訓練士”という職業を知りました。患者さんの「見ることすべて」をサポートするプロとして働くことに魅力を感じ、視能訓練士を目指すことに。難しいこともありますが、助け合い課題を解決していく学科の雰囲気が気に入っています。講義や実習の内容を理解し、正確な結果や診断を出せるように頑張っていきたいです。